兼業Pのカタコト語録

デレマスの、エンタメのことや想いやもやもやを文字にする場所。

『15時17分、パリ行き』を見てきたよ、のお話

 どうもお久しぶりです。青葉飛鳥です。

 ここ最近は意識が飛んだようにだらーっとした日々を過ごしていましたが、皆様はどんな感じでしょうか。

 

 さて今回は1週間ほど前に公開された映画、

15時17分、パリ行きについてのお話。

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 実際に起きた『タリス銃乱射事件』をベースに製作された今作。

ポスターからもシリアスな雰囲気が漂っていますが、果たしてどんな内容だったのか。

 

 

あ、ネタバレありで進行しますので、ご容赦下さい。

 

 

 

 

 

大虐殺を防いだ3人の若者の物語*1

 今作は、この事件を大惨事になる前に食い止めた3人の若者が主人公となっています。

(3人は、どういうあつまりなんだっけ

 

 3人中2人は軍人ではありますが、そのうちの1人はお世辞にも優秀とはいえず。

多動性などの障害すら持っているような描写すらあります。

 

今作はまず、この三人の生い立ちや思想、そして事件に巻き込まれるまでを描いていきます。

 

大半の上映時間を使って。

 

 この映画、計100分近くの尺なんですが。

肝心のテロに立ち向かうシーンは恐らく20分も無かったんじゃないかなと思います。*2

 

なら、残りの時間は何をしているか。

それは上で書いた通り、彼らの人生や事件巻き込まれる過程に多くの尺を割いています。

その為、Twitterなどでは「観光映画だわこれ」なんてツイートもしばしば。

 

 とはいえ、

「ただの観光映画で、テロのシーンはそんな短いの?やめたらこの仕事」

とは*3ならないのが本作のすごいところ。

 

 

 リアルにこだわった演出

 今作は、3人の若者が主人公になると上に書きました。

そして、その3人を演じるのは実際に犯行を食い止めたご本人達です。

 

 同監督作品の『アメリカン・スナイパー』では

ご本人が他界したということもあり、かなり似た役者さんを起用していましたが。

本作ではまさかのご本人。

アメリカン・スナイパー(字幕版)

 そして、事件で使われた列車。

テロ犯に撃たれた方、一部警察隊員などがご本人役で出演されています。

 

 

なぜ、一見無駄なシーンや本人起用にこだわるのか

 今作の監督はかの有名なクリント・イーストウッド氏。

そんな大御所が、無駄なシーンをわざわざ入れるはずがありません。

 

 そして、その意図こそが。

この映画を楽しめるか否かを分ける重要なファクターになりうるのではないかと思うのです。

 

 多くの映画や、先に述べた『アメリカンスナイパー』の場合。

私たちは物語を「どこか遠くの世界の話」と捉えがちです。

 

  それを、彼らの子供時代から長い尺を使って描き。

また限りなくリアルな状況に近づけることにより、

 

”主人公達を一般人だと認識させること”と、

”この映画の世界が決して別世界ではないこと”を私たちに強く訴えかけようとしているのではないでしょうか。

 

 この映画はテロがモチーフになっている。

そのテロというものは、決して遠い世界の話ではないわけで。

我が国でも、オリンピックを開催するにあたって無視できない要素の一つだといえる。

 

監督は、「テロはいつでも自分の身に降りかかる可能性がある。」

そう、伝えたかったのではないだろうか。

 

 

 一見すると無駄なシーンが多く、一般人が好みそうなアクションのシーンなどははっきりいっておまけ程度と言える今作。

 

 某映画レビューサイトでも、多くの人が星1や2をつけた。

その理由は明白だ。宣伝で見られたようなアクションシーンが多い映画ではないから。

 

 そして、普段あまり映画を見ていなかったり、

小説などを読まない人たちが監督の意図にたどり着くことができないからだと考えられる。

 

 

 ところで。

最後のシーンはおまけだと言ったが、それもまた違うかもしれない。

 

そこにたどり着くまでの過程で多くの、要素があり。

テロを防ぐ見どころのシーンは、さしずめ”最後の仕上げ”といったところ。

 

 監督の意図に気がつくか。その点で見る人を選ぶ映画ではあるけれど。

もし気づけたのなら、今までにない不思議な感覚があなたの頭の中を支配していることでしょう。

 

 

 

*1:嘘はついてない

*2:一緒に見に行った人曰く、10分も無かったんじゃないかと。

*3:後述するが、人によっては