どうも、青葉飛鳥です。
今回は、絶賛公開中の映画。『オズランド 笑顔の魔法 教えます』(以下オズランド)のレビューやら感想やらのお話。
この作品は映画オリジナルのものではなく。
原作は小森陽一氏の小説、『オズの世界』
表紙やオズというタイトルから勘違いされそうだけど。
どこぞのブリリアントパークとは違い、実はファンタジー要素は(映画の方では)ゼロ。
舞台もロケ地も実在する遊園地、グリーンランド*1での物語。
はたしてどんな映画だったのだろうか。
あ、多少ネタバレありで進行していきますのでよろしくお願いいたします。
なんでこの映画を見に行ったのか
まず初めに。
私こと青葉飛鳥はアニメを除き、映画館では邦画をほとんど見ない。
理由は単純で、
「人間ドラマとか安っぽい恋愛とかがメインで画的にも地味なのに、
スクリーンで見る必要がないしそのために1800円払えない」
でかい画面で見るなら、せっかくなら迫力のある映画の方がよいダロォ?
というのが持論である。
映画ファン失格だとか言われそうなものだけれど。
実際そう思っているのだからだから仕方がない。
あともう一つは、その手の映画を見に来る人達の民度の問題。
ともあれ、そんな私がなぜこの映画を見に行ったかといえば。
まず一つは私の愛する遊園地、それが舞台であること。
物語のほとんどのシーンが、グリーンランドで展開されていくのである。
これは遊園地好きを自負している私が、見に行かないわけにはいかない。
あともう一つ。
ファーストデイで安かったんでつい。
てへぺろ。
あらすじ*2
大好きな彼氏と同じ職場働くため、一流企業に就職を決めた波平久瑠美*3。
彼女はその中で、企画を立ち上げる部署に配属されることを望んでいた。
そして、彼女の望みはかなうことになる。
大好きな東京ではなく。グループ傘下、それも熊本の遊園地の企画担当として。
果たして、彼女に待ち受けている試練とは。
そして、噂に聞く”オズの魔法使い”とは一体。
現実と理想のギャップに悩む主人公
なんとも若者らしいというか。私も似たようなものだけれど。
主人公は、理想と現実。
やりたいことと実際にやらされることの差に、苦悩していくことになる。
本人は企画をたてたくて一流企業に入ったのに。
実際は園内の掃除や動物の世話など。もはや雑用ともいえる仕事ばかり。
しかも、その雑用のような仕事に一生懸命な同期の方が。
職場の仲間に愛され、遊具の配置などもしっかりと覚えている。
そのうえ、自分よりもしっかりとした対応ができている。
自分ができなかったことを当然のように行っている。
社会人の方には、こういう経験はあるんじゃなかろうか。
主人公も、もれなくそんな失敗や挫折をくぐり抜け成長していくのである。
理想の上司
本作には主人公の上司兼教育係として、小塚慶彦*4という人物が登場するわけなんだけど。。
この人物がまた魅力的なのだ。。
いつもニコニコとしていて、飄々としているようで仕事にはまじめに取り組む。
それに加え、仕事をしているときでさえ笑顔を欠かさないでいる。
本人や周りの人間曰く、「あいつは仕事を楽しんでいる。」
もちろん、部下の判断に対して必要ならば静止をかけようとしたり、
叱ろうとするときもある。
それでも、その人となりは否定せず、個性をそのままに尊重しようとする。
そんな人間なのである。
いや、これ、理想の上司と言わずに何といえばよいのだろうか。
物語中盤には、彼のある”お願い”により、深夜なのにスタッフが応援に駆け付ける。
皆の話す理由はこうだ。「困ってたから」「人柄だろうな」「あいつのためなら」と。
上司に欲しいどころか、自分がそうなりたいと憧れてしまう。
そんな人物が出てくるのもこの作品の魅力の一つだろう。
下手な恋愛要素のなさ
さて、この手の邦画において恋愛要素というのもはつきもので。
本作にも御多聞にもれずそういった要素がある。
上のあらすじにも書いたが、そもそも主人公には彼氏がいるのである。
そしてネタバレにはなるが、その彼氏とは最終的に道を違うことになる。
もしここから、主人公が教育係の慶彦とくっつく展開になろうものなら、
私はこの映画の評価を★1にしていただろうし、今頃こんな記事は書いていない。
(気があるのでは、と匂わせる描写はあるが。ごく一部。)
昨今流行りの恋愛やイケメン要素に頼りすぎず。
原作をリスペクトしたうえできっちりとやるべきことをやったのだろうと、
そう思える出来栄えなのだ。
遊園地が舞台という特別感
例えば、映画『トゥモローランド』では、ディズニーランドが登場こそすれ。
大半は架空の都市にて物語が進行していく。
また、アニメ作品である『甘城ブリリアントパーク』では。
遊園地がメインの舞台ではあるがそもそも架空の世界である。
日本ではあるが、そこには魔法もファンタジーも存在する。
私たちのいる”日本”とは似て非なるものであろうことは言うまでもない。
(もっとも、私たちの見えないところにそういった世界が広がっている可能性は否定できないが。いうなればそう、9 3/4platformのように。)
だが、その点この『オズランド』はかなり異例な作品であるといえる。
その理由は、映画のシーンの多くが実際にグリーンランドで撮影された作品だからだ。
実際の遊園地が舞台で、なおかつ撮影も行うとなると。
『Escape from Tomorrow』のような例外を除き、ほとんどないはずだ。
これが、この映画や作品を特別にしている要因の一つなのだろう。
〆
遊園地が舞台だからと言って軽い気持ちで見に行った映画だったが、
思いのほか楽しむことができた。
主人公が抱える悩みなんかに共感することもできたし。
なにより、主演の西島秀俊がかっこいい。美味しい役すぎる。
笑顔と真顔のギャップがかわいいんだよ。なんだよあのかわいいおっさん。溶ける。
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また、きらきらとした非日常の世界の裏側、その苦労を描いているという点でも非常に興味深かった。
もっとも、実際に遊園地に勤務したことがある人からすればあんなの全然序の口なのだろうけど。経験のない私たちはこういうところから察して知るほかないのだ。
どれだけ大層な仕掛けが作られても。どんなに大きなアトラクションができても。
やっぱり、最後はそこにいる人なんだなって。そんなことも改めて感じたり。
遊園地に興味がある人も、そうでない人も。
仕事で悩んでる人も、笑顔を与えたい仕事に就きたいなぁって思ってる人にも。
是非お勧めできる一本だなぁということで。
今日は締めさせていただきます。
※追伸
本文中には書けなかったことなんだけれど。
果たして今の遊園地、テーマパーク業界にあって。
この作品の登場人物たちほどの熱意がある人材ってどれくらいいるんだろうか。
遊園地で働く理由なんて人それぞれで、それに茶々を入れる権利は私にはないけれど。
地方のさびれた遊園地なんかにいくと、
どうもやる気がない従業員も多いとか少ないとか。
大手テーマパークでそういう人がいないわけではないけれど、
「どうせ大して人も来ないところなんだし」とあきらめの姿勢でやってる人って実は結構いるんじゃないだろうかなんて邪推をしたり。